僕が四国八十八箇所を巡ってみたい理由は、全国的にも有名な価値ある渋い寺を楽しみたい!というものです。

でもせっかくお寺を見て回るのなら、もう少し深くその背景を知っていたほうがより楽しめるはず!

ここでは「八十八箇所霊場観光を楽しむ」ために素人目線で仕入れた情報をシェアしたいと思います。

四国八十八箇所霊場

sikokuhatijuuhatikashoreijou

四国八十八箇所霊場って?

四国にある空海(弘法大師)ゆかりの88か所の寺院の総称

四国八十八箇所を巡拝することを「四国巡礼」「四国遍路」「四国巡拝」などともいうそうです。
始まりは江戸時代ごろ。庶民の間に寺社の巡礼が流行したそうですが、そのうちの1つが四国八十八箇所なんですって。
なお、ニューヨークタイムズが2015年1月に掲載した世界の観光地ベスト52で「四国と遍路」が35位にランクインしています。

観光としての遍路、大いにありですね!

八十八箇所霊場のご詠歌

各霊場には、それぞれ御詠歌と呼ばれる句があります。なにこれ?

仏教の教えを五・七・五・七・七の和歌と成し、旋律=曲に乗せて唱えるもの。
本来は御詠歌を唱え、納経した証に収める札納札(おさめふだ)を納める

この御詠歌、語呂合わせや駄洒落も含まれていて文学的評価が高いわけではないようですが、人によってはその表現の中に脈々と受け継がれてきた庶民の信仰のもととなる悲しみや喜びの共感があるんだ、という解釈もできるようです。

御詠歌の一例として、高知県土佐市の青龍寺の御詠歌を載せておきます。

わずかなる 泉に棲める 青龍は 仏法守護の 誓ひとぞきく

うん、古文が苦手な僕には正しい意味はわかりません。
ですが何か風流じゃないですか。現地に行けば意味がわかるのかもしれませんね。
漠然と楽しめればそれでいいと思います。

真言宗について

真言宗と呼ばれる宗教の流れを組んでいるのが四国八十八箇所霊場ですが、はたしてどんな教えなのでしょうか?

空海(弘法大師)が9世紀(平安時代)初頭に開いた仏教の教え。
空海が中国(唐時代)の長安に渡り、青龍寺で恵果から学んだ密教を基盤としている。
人間がこの肉身のままで究極の悟りを開き、仏になること(即身成仏)がテーマ

どうやら文書や口頭で全てを悟るのではなく、自ら厳しい修行を重ね、さまざまな事象に関する悟りを開きながら最終目標である「仏の覚り」を求めるようです。

はい、かなりストイックです。それゆえ、徒歩で四国を一周する過酷な修行「お遍路」が生まれたのですね。

また、開祖の弘法大師を信仰しているのも特徴です。

真言宗の「真言」って?

サンスクリット語でマントラ、真実の言葉という意。転じて仏の言葉をいう。
古代インドから効能がある呪文として重視されてきた。
真言を唱えることで、発願を仏に直接働きかけることができるとされている。真言宗では、心で仏を想い、手で印を結び、三返ないし七返声で唱える(三密)。

そのコトバ自体に力のある呪文を唱えて仏様への願掛けを行うんですねー。厨二心をくすぐられるカッコよさがあります!

ドラクエでいう「ホイミ」とか「ベギラマ」、FFなら「メテオ」「アルテマ」
真言ならば「おん、あろりきゃ、そわか」と唱えることで観世音菩薩に働きかけるのです。
ん、どちらかというと「バハムート」とか「シヴァ」といった召喚魔法っぽいですな!

空海(弘法大師)はチート級の凄い人

kuukai

歴史の教科書で聞いたことのある名前ですね。どんな人だったのかを掘り下げてみました。

平安時代初期の僧

・774年、讃岐国多度郡屏風浦(現:香川県善通寺市)の生まれ。
・密教を学ぶために無名の留学僧として留学期間20年の予定で中国(唐)に渡る。
・師事した唐長安青龍寺の恵果(えか)から、わずか半年で最高位である阿闍梨(あじゃり)を授けらる。
・余った時間で土木技術や薬学をはじめ多分野を学ぶ。
・留学期間20年の予定だったがわずか2年でマスターして帰国。

このとき恵果の弟子は1,000人以上いたそうですが、国籍・序列をあっさりと乗り越えて、留学生の無名日本人僧が密教の後継者として認められたわけです。凄すぎでしょこの方・・・

そして帰国後も輝ける功績の数々!

・書家として著名。中国では五筆和尚、日本では三筆の一人に数えられる。
・作文の達人。詩、上表文、願文などあらゆる種類の文を草稿なしで書き上げる。
・全国26箇所で温泉を発見する。
・平仮名を作った。
・いろは歌を作った。
・お灸の文化を唐から持ち帰り広めた。
・うどんを唐から持ち帰り広めた。
・曜日の知識を唐から持ち帰り広めた。
・水銀鉱脈や金鉱脈を次々と発見した。
・日本で初めてダウジングを行った。
・満濃池(まんのういけ、現在の香川県にある日本最大の農業用ため池)の改修を指揮して、アーチ型堤防など当時の最新工法を駆使し工事を成功に導いた。
・儒教・仏教・道教などあらゆる思想・学芸を網羅する総合的教育機関をつくった。庶民にも教育の門戸を開いた画期的な学校

学問・芸術・思想・土木などあらゆる分野で天下を取れるレベル!
日本最高峰のスーパーエリートですね。

そしてまだまだあります伝承の数々。

・日本各地で魔神や悪霊を封印。
・入定してもなお日本国内に約1500体の龍神を封印し続けている。
・ある娘が少ない水を空海に全部与えたところ、次の朝、山の麓が湖になり水が豊かになった。
・病気の子供をもった親が空海に懇願した。空海は独鈷で地を突き病を治す霊水を湧かせた。
・淡路島で村人が空海に水を与えなかったので水が涸れた。
・下益城で、もとは温泉だったが空海の問いに老婆が水だと嘘をつくとただちに水の池になった。
・能美で村人が水を惜しみ与えなかったため空海は怒り村のどこを掘っても鉄気のある水にした。
・老夫婦が空海に宿を提供して、その礼に貰った1本の手拭いで顔を洗うと若返り、他人に貸したらその人は猿になった。
・空海はある家で蕨汁を供された。その面倒な調理法を聞き、あく抜きせずにすむ蕨を授けた。
・孫のために栗を採ろうとして苦労する老婆を見て村一帯に栗の実を沢山生らせた。

こんな生き神のような方を祀るのが真言宗であり、八十八箇所霊場なんですね。

行基(ぎょうき/ぎょうぎ)

行基
行基(どーなってる!?新大阪より)

この人が絡むお寺や伝説もたくさん出てくるみたいです。

奈良時代(空海より100年ほど昔)のお坊さん。
仏教の布教がNGな時代に仏法の教えを説いて回った。
各地を巡り道場や寺院も立てていったのでゆかりのある土地が結構ある。
土木技術も一級品で各地に溜池、溝と堀、橋なども建てた。
言うことを聞かない行基に朝廷ご立腹&弾圧するも信者との団結パワーで跳ね返す。
僧侶の最上位ジョブ「大僧正」になる(日本初)
奈良の大仏(東大寺)造立の実質上の責任者で、東大寺の「四聖」の一人。

元祖空海みたいなスーパーお坊さんなんですねー。

ためになる教え

せっかくのお寺巡りですので、精神的に成長できればなお価値がありますよね。
人間力を上げてくれそうな教えがありますので、可能な限り実践していきましょう。

十善戒(じゅうぜんかい)

弘法大師が「仏教の教えで人がしてはいけないこと」、「お遍路が守らなくてはならない戒律」を定めています。それが十善戒。

一、不殺生(ふせっしょう)
生きているもの、すべての命を大切にする。
二、不偸盗(ふちゅうとう)
物を盗まず、他人のものを大事に扱う。
三、不邪淫(ふじゃいん)
性は尊いものであり、節度をもって性を考える。
四、不妄語(ふもうご)
うそ、偽りはいわず、真実を話すことを心がける。
五、不綺語(ふきご)
虚飾のことばは話さず、飾らない本当のことばで話す。
六、不悪口(ふあっく)
悪口は言わず、相手を思いやることばで話をする。
七、不両舌(ふりょうぜつ)
どの人に対しても、二枚舌を使わず、温かな気持ちで話す。
八、不慳貧(ふけんどん)
強欲をはり、貪ることなく、感謝の気持ちで過ごす。
九、不瞋恚(ふしんに)
怒りをおさえ、心を落ち着けて、優しい気分で過ごす。
十、不邪見(ふじゃけん)
邪な間違った考えを捨て、どの人にも平穏な気分で接する。

これはいま見ても大切なことばかりじゃないでしょうか。できていない自分に反省しなければ・・・

前述の「真言」ではコトバそのものが力を持つ呪文でしたが、その解釈では自分が発するコトバにも力があるとも言えます。この十善戒の中にもコトバについての戒律が多いのかなー。

食事の作法

小学生や中学生の頃は給食がありました。食事作法は「手を合わせて下さい」からの「頂きます」でした。
宗教的な作法って、どんな感じなのでしょうか?

食前合掌
一滴の水にも天地の恵みがこもり、一粒の米にも万人の苦労がかけられています。

1つ 私たちは天地自然や、あらゆる人々の恩恵によって生かされていることを感謝いたします。
2つ この食事いただくに値するよう、人の為世の為良い行いをしているか反省します。
3つ 過ちや不幸の根拠である、貪(むさぼ)りや、噴(いかり)や愚痴(ぐち)を捨てます。
4つ 心身の飢渇(うえ)をいやし、生命を保つ良薬と思い食物の不平を言いません。
5つ 仏の道に精進し、円満な人格を作ります。いただきます。

食後合掌
今有難き食を受く、心身をいたずらに浪費することなく世の為、人の為活動せん。
ご馳走さま。

うんうん、やっぱり食べ物はありがたく頂くものですよね。お遍路中では以下のコトバを以って食事を頂くようです。
「一滴の水にも天地の恵みを感じ、一粒の米にも万民の労苦を思い、ありがたく頂きます」

終わりに

現代における宗教は人間力の向上にあるんじゃないかなーと思っています。
思いやりや思慮深さ、奥ゆかしさ、品位、礼節・・・

長い歴史のある宗教の教えには、哲学・倫理学的要素、日本の道徳観念・・・いわば人間として尊敬に値する精神的なイケメンになるためのノウハウがぎっしりつめ込まれているはず!

そのあたりを遍路旅で血肉にできればより有意義ですよね。

今回の項目とは別に、巡礼前に知っておきたい<四国八十八箇所霊場>建造物ネタを書きましたので併せてご覧ください。

投稿者 ホンダ芭蕉

四国は高知、車社会の片田舎で訳あって原付バイクだけで暮らしてます。 カブ生活の魅力と困難、ふらりと立ち寄った寺社仏閣や田舎の癒しスポットなどをご紹介します。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です