3部に渡り更新してまいりました魚梁瀬森林鉄道(やなせしんりんてつどう)の産業遺産探訪のラスト記事です。
前回はやすだじかんの安田町、ごっくんの馬路村、そして旧魚梁瀬の村落が沈む魚梁瀬ダムを訪れました。
今回は北川村、田野町、奈半利町の遺跡巡りツーリングです。
魚梁瀬森林鉄道シリーズ
①[カブでプチツー]産業遺産、魚梁瀬森林鉄道を実際に走ってきました!隧道一覧マップもあるよ
②[カブでプチツー]魚梁瀬森林鉄道を再探検!馬路村~魚梁瀬ダムの遺跡道を走行
魚梁瀬森林鉄道の重要文化財一覧
現在地は魚梁瀬ダム。ここから南下して北川村を縦断していきます。
魚梁瀬森林鉄道を散策 - 2日目(後編)
魚梁瀬周辺から少し下ると開けてきますが、回りは完全に緑一色。ジブリの世界ですわこれ。
緑の中を走り抜けてくアバグリーンのビジネスツアラー仕様カブ。非日常の中を進みます。
堀ヶ生橋への道のりは遠く険しい
次の産業遺産「堀ヶ生橋(ほりがおばし)」までに、いくつもの名も無き隧道(ずいどう)がありました。
完全に県道と一体化して結構出現するんですよ。重要文化財に選ばれなかった隧道たちですが、こうして今でも人の役に立っていられることが建造物冥利に尽きるのかもしれませんね。
進路が通行止めになり、迂回しなければならなくなりました。
幸いすぐに本線に戻れたのですが、そこで生まれて初めてアレを見てしまいました・・・
コレはスゲー!(不謹慎)
ここ最近強めの雨が続いていたためでしょうか。
自分に関わりの無い異世界で起こっているものだと思っていましたが・・・
斜面を覆う見慣れたカバーがあるところは、それだけ危険なエリアだということをまざまざと見せつけられました。
「長雨・強雨の後の山間部移動には要注意」
という危険予測をインプットしておかなきゃ!
道中で見つけた人工物と自然の調和
このミニ滝から奈半利川に流れ込んでいるわけです。本当に高知の川は美しい・・・
これは避難所的な建物のようです。近くにヘリポートがありましたので、この文字を目印にしているのでしょうね。
堀ヶ生橋(ほりがおばし)
近代に建造された充腹式単アーチ橋で日本最大級
建造は昭和16年
経済産業省の近代化産業遺産群にも認定
これはハイクオリティな産業遺産です!!
アブっぽい虫に絡まれてちょっとしたパニック状態に。振り払おうと手を動かしながら岩場を進んでいく姿はきっと、川辺で小躍りしている不審者だったことでしょう。
うんうん、確かに今まで見てきた橋とは一線を画す構造です。
一つのアーチで構成されているから「単アーチ」なんですね。
「充腹」とはアーチ部分と路面の間に隙間が無い状態なんだそうですよ。
いくつか安全地帯があります。
一番大きな安全地帯にカブを停車させました。ここで乗客が待っていたのでしょうねー。
ちなみに、バイクがある下には大きなスズメバチの巣があります。
撮影後バイクに戻ると、あの飛行音を轟かせながら旋回しておりましたのでご注意下さい!
なぜかエンジンが熱くなっているバイクにはアブやハチが寄ってくるんですよね・・・あの現象何なの!?怖いのでやめて下さい・・・
二股橋(ふたまたばし)
そこからわりとすぐに次の重要文化財に到着。
無筋コンクリート造の充複式二連アーチ橋
我が国最大級の無筋コンクリート造橋
建造は昭和15年
戦争のため、鉄材の使用が制限された時代を反映する建造物
経済産業省の近代化産業遺産群にも認定
これもまた価値ある橋ですな!
鉄筋コンクリート製ではなくて、無筋。戦争で鉄が無い時代のオールコンクリ橋なのです。
ヾ(゚Д゚ )ォィォィ大丈夫かよと不安になってしまいますが、これまたコンクリートの特性をうまく活かしているんです。
コンクリートは押さえつけられる力に強い
アーチ橋は押さえつけて安定させる橋
ゆえに、アーチ橋とコンクリートの相性は良いわけです。
建築って物理学だわ・・・かしこい!
先ほどの堀ヶ生橋と似た構造です。
橋の手すり部分「欄干(らんかん)」がぶっ壊れてるじゃないですかヤダー
誰かが車で突っ込んじゃったのでしょうね・・・
個人的には手を加えずこのまま転がしておくのがより味わい深いものになりそうな気がします。これも二股橋の新たな歴史の一ページですし。
小島橋(こしまばし)
次の目的地は小島橋なのですが、道中にこれまたインパクトのある橋を発見。
この橋に、なぜこんなことに!?と思うような驚くべき謎が隠されていました。
骨組みの間に木がいっぱい挟まっていますよ!
台風や梅雨時期などで、このダムが流水をストップしたときに水位が上がって流木が引っかかるのでしょうか。
また災害があったのでしょうか、迂回指令がだされており山に近い道を進みます。
小島橋に到着
近くに小島橋より大きくて立派な赤い橋がありますが、それは残像です。本体はこちらの細長い橋!
昭和7年の建造
森林鉄道遺産のなかで最も大規模な橋
経済産業省の近代化産業遺産群にも認定
これは魚梁瀬の宝ですわ!
なおこの橋は歩行者やバイク、軽自動車のみが渡れる橋ですのでお気をつけ下さい。
迂回路からアプローチするとこんな感じで細道への分岐が現れます。
軽自動車というか軽トラ向けって感じです。
橋からの眺めも良いので、歩いて渡ってみるのも良いと思います。
僕が訪問したときには誰もいなかったのでカブで立ち止まりながらじっくり鑑賞できました。
立岡第二号桟道
小島橋に別れを告げて進みます。
次の立岡第二号桟道まで結構距離がありますが、その道中で開けた場所がありました。
何気なく左手を眺めると、はるか遠くに蔓草に侵食され自然と同化寸前の人工物が。早速愛用のカメラ「PowerShot SX410 IS」で40倍光学ズームイン。
その佇まい、まるでラピュタのロボット兵そのものではないですか!
ロボット兵のような橋脚がひとつだけぽつんと残っている・・・ってますますラピュタやんけ!
日がだいぶ落ちてきています。秋めいてきましたなぁ・・・
立岡第二号桟道に到着
この橋げたも近代化産業遺産群の一つです。
当時もこの辺りは田畑だったそうで、それらを避けるように線路が伸びていたのだとか。
だいぶ海に近づいてきて街っぽくなってきました。
八幡山跨線橋(はちまんやまこせんきょう)
これは今までのものとは少し毛色が異なります。
なんと、林の中にある神社への参道として使われているのです。
立派な参道です。この参道の長さから察するに、地域の重要な神社ではないでしょうか。
レールが敷かれていた部分が今はこんな感じになっているんですねー
報恩寺跨線橋(ほうおんじこせんきょう)
最後の産業遺産であるこちらも八幡山跨線橋と同じ活用方法です。
三光院というお寺に通じている道。ちょっとあがってみます。
蜘蛛の巣だらけで断念。誰も使ってないのですね・・・
魚梁瀬森林鉄道を制覇
お疲れ様でした。近世のテクノロジーやノスタルジーを感じていただけたでしょうか。
一見ただの通路やトンネルなのですが、注意してみると重要文化財がごろごろしているんですね。
公式サイトなどで予習をしてから行くとより楽しめると思います。
道のりはゆるやかなワインディングロード。道中延々と森林浴を楽しめます。
初隧道、初赤橋、美しい川や風景・・・様々な誘惑があり、気に入ったスポットで思った以上に長居する恐れがあるので、朝からの散策がオススメ!
ちなみに僕は原付で速度が遅いのもありますが、初日6時間、2日目7時間を要しました。
また山奥の散策がメインになりますので、動きやすい服装と虫よけをお忘れなく。
夏の新緑に映える橋、秋の紅葉に映える隧道と、季節を問わず楽しめると思います。
普通のツーリングとしても楽しめますので、ぜひバイカーさんは冒険に出かけて下さいね。
蛇足
いやー、本当によく走ってくれる子です。今回のルートはオーバーヒートしませんでした。
高知市でガソリン満タンにして出発し、道中補給なしで帰り着くことができました。
夕日の時間に間に合いました!次はどんな冒険に出ようかなー