昨夜は四阿の壁際にテント設営。
この壁際って、100メートル以上離れた道路を走る車の走行音でさえ反響して賑やかになるんですね。
そして夜になって降りだした雨は思いのほか強く、おおよそ晴天に恵まれた四国一周の旅がいかに恵まれたものだったかを痛感させてくれます。
フッ・・・天がまだ帰したくないと言っているのか・・・
とか北斗の拳風にカッチョイイことを考えていると、足音が近づいてくるではありませんか・・・
こんな雨の夜に何者・・・と戦慄しながら耳をそばだてる僕。
足音は四阿内に入り、テントから5メートルほど離れたベンチ付近で途絶えました。
いやぁぁぁぁぁぁwwwww
怖いwwww野宿怖いwwwww
テントから出て様子を伺うことも考えましたが、相手の出方を待つことに。
夕暮れ、朝方なら出て行って自己開示するのがベストだと思うのです。だってその時間帯に活動するのは普通の人だから。
ですが今回は夜中、それも雨。そんななか散歩とかしちゃうのはちょっと普通じゃないでしょ!
さらにテントに近づいてくるようなら・・・腹を括ろう
今でこそスーパーインドア脂肪マンですが、高校では趣味筋トレなガチムチラガーマンだった僕。
いざとなったらタックルして逃走や!
イメージトレーニングをしながら動向を伺います。
20分ほど経過した頃、舌打ちのような音と共に立ち上がり、去っていく足音・・・
・・・勝った!
てか何やったんや!?
その後も車のヘッドライトを当てられて写メを撮られたりする事案が発生し、ガクブル状態で夜を過ごしました。
野宿慣れしていない人、特にソロの場合は人里離れた場所かキャンプ場でテントを張るのは一番ッスね。
亀鶴公園前休憩所
昨夜のお宿は今までで一番立派な四阿で、広い!屋根付き!トイレ付き!見晴らし最高!な最良物件でした。物件が良すぎて変な人も寄ってくるのかもしれません。寝泊まりを予定している方は充分注意してくださいね。
また、朝はお年寄りのラジオ体操場所でもあるようで、わらわらとお爺ちゃんズが集結してきましたので撤収はお早めに。
本日の動き
朝には雨も上がっており、まずまずのコンディション。
残すところ最終札所の大窪寺のみですので、道中を満喫しながら「お遍路」を楽しみたいと思います。
おへんろ交流サロン
道の駅ながおの向かいにおへんろ交流サロンというものがあります。先日お接待して下さったTwitterのアニキにもオススメしてもらったのでお邪魔してきました。
ここヤバイ!まじヤバイです。「えっ?無料で公開していいの!?」と思えるほど貴重っぽい展示品の数々。
管理者の方は博識で過去のお遍路情報やこれから進む道について面白い話が聞けました。その後やってきた歩き遍路さん数名を交えて「やっぱ山寺最高www」の結論に至ります。
歩き遍路でもなく、強い思いがあるわけでもない、霊場を見て回りたいだけの「ファッション遍路」な僕。各霊場を巡り色々な想いを持つ人に触れることで、こんなふわっとした理由の自分が恥ずかしいとかみっともない、むしろ悪いことをしているような気持ちになったりしていたのですが、そんな僕をお遍路さんの一員として接してくれたお遍路交流サロンの管理者さんに救われた気がします。特にそういう話をしたわけではないのですが、何となく。
おへんろ交流サロン前にある碑石。正直これを見るまでは「やっとここまで来れた~疲れた~」みたいなにわか全開の軽い気持ちでしたが、多くのお遍路さんが様々な想いを抱えてこの旅の結末に向かっていく道なんだな・・・とガラにもなく感傷的な気分に。
ただの観光気分だった僕ですら、たった4文字の短い言葉に感慨を覚えてしまったので歩き遍路さんなんて胸が熱くなるレベルでは済まないんだろうな。
サロンで旧遍路道のルートマップを手に入れたので、可能な限り本当の結願の道を走って行くことにします。
結願の道
平日はダンプカーが通行するというこの道も、日曜の今日は静かなもの。僕より先に出発していたおへんろ交流サロンで出会った歩き遍路さんに追いつき声援を飛ばしながらゆっくり進行。
他にもたくさんの歩き遍路さんを見かけ、軽く会釈しながら追い越していったのですが、歩き遍路さんから見たバイク遍路はどのように見えているのでしょうか。
ツアーと思しき歩き遍路の団体さんにも遭遇しましたが、後ろから接近する僕に気付いた一人がb(*´∀`*)っと親指を立ててくれたりしたのでわりと好意的だったりするのかな?
森深い場所に打ち捨てられた廃屋。ああ^~
ああ^~やっぱり山は最高なんじゃ~
都会の方には馴染みがないでしょうが、田舎では落ち葉や枯れ草などを畑で焼いたりするんです。実家でもよくやっていました。焚き火の楽しさと煙の匂いにはノスタルジーを感じます。
旧遍路道を楽しんでいるうちに霊場ラストのお寺に到着です。
・・・ついにこの時が来てしまったかー
結願の地 88番札所 大窪寺
で・・・でかい!どの霊場よりも大きいのではなかろうか・・・
初期の頃はド肝を抜かれた巨大わらじも見慣れたものとなりました。
山の中にある寺らしく、アップダウンのある広大な敷地です。
歩き遍路さんと共に88のお寺を巡礼した金剛杖が大量に奉納されています。杖の数だけドラマがあったのでしょう。
一面障子の大師堂はちょいレアな存在です。扉のギミック、やっぱりイイですな。
大師堂のある参道より一つ下の道には、大師堂の地下へ入る場所がありました。
八十八ヶ所のお砂踏みができる道場があり、1周すれば全部のお寺を回ったのと同じご利益があるとか。
この手のアトラクションは色々な霊場で見ましたが、お遍路の意味合いと矛盾もしくは否定していることにならないんですかね。ひいては各霊場の存在意義も失いかねない危険なものだと思うのですがそれは・・・。
日曜日の最終霊場はものすごい人です。線香の煙の量も霊場随一!
巨大な銀杏の木が見事な紅葉を見せてくれました。金色の絨毯も美しい。
・・・正直本堂より目立ってます。
駐車場から下って行くと山の中とは思えないほど賑わっています。
繁華街から大窪寺へ参拝するルートもありました。
風情ある昔ながらの山門って感じですね。
二階部分がカッコイイ!
山寺の良さの一つに、自然との一体感が挙げられると思うのですが、この大窪寺は高次元で融合してます。苔生した礎石と美しい白壁だけでも価値があるのですが、加えて見事な紅葉とか・・・。
普通に散策するだけでも楽しめますね。
大窪寺奥の院 胎蔵峰寺
大窪寺は山寺らしく高低差のある広大な境内で一巡するにもそれなりの運動量になるのですが、さらに山の上に奥の院があるわけです。880メートルって結構あるな・・・
ラストミッション、行ってきますか!
土がむき出しの山道、というか登山道。木で作られた階段は高低差が大きく、もも上げ状態。さらには前日の雨で滑りやすいとか、これはちょっとした拷問です・・・
かなり高いところまで登ってきました。残り300メートル!
300メートルを切るとほぼ登坂ではなく平行移動。てくてく歩いていけるので楽なのですが、時々倒木やら木切れなどのトラップがありました。
この写真の場所、通行禁止かと思うほど見事に進行方向を塞いでいますがスルーしてOK!
切り立った崖の下に石仏と納屋みたいな建物が。
ここではお不動さまらしき石仏が祀られているんですねー。
胎蔵峰寺に来たはずなのですが、お寺がないとはこれいかに??
まさかと思い納屋を開けてみると・・・
Oh・・・この納屋が胎蔵峰寺だったみたいですね。
最終霊場である大窪寺の奥の院だからインパクトのあるお寺を想像していましたが、予想の斜め上でした。土着信仰っぽくてこういうのも悪くないと思います、ええ。
結願を迎えて
くぅ~疲れましたw これにて完結です!
これで20日間に及ぶ四国八十八ヶ所霊場を重積載スーパーカブ50ですべて制覇したわけですが、冷静に考えてみると88のお寺を巡るって普通じゃないですよねー。スゴイことをしてきたんだと思います。
結願・・・心からのお願いごとが叶うと言われていますが、特に何も考えていませんでした。
とはいえ、以前から88箇所巡礼をしたい!という思いを抱いており、それが今回成就して大きなトラブルもない楽しく刺激的な旅になったともいえますね。
悟りを得たとか宗教的に覚醒したようなことは無いのですが、親切にされることの有り難みを再認識できたように思います。
バイク遍路って非常に孤独な旅で、移動中は完全に一人ぼっち。たまたま誰かと出会ってお話しながら進むことがあり得ないんです。寂しい・・・
そんなロンリー状態で偶然にもお話できたお遍路さん、Twitterを通じてエールを送って下さった皆さん、お接待して下さった地元の方々。こういったハートがポカポカな人たちのおかげで心折れることなくゴールすることができました。
ぼっちでも一人じゃないって思える瞬間って・・・いいモノですね!感謝しかねーよ!!
これで思い残すことは無い!とい言いたいところですが、正直中盤以降のお寺は作業的に回った部分があります。ノルマ消化とまでは言いませんが、それに近い形になってしまいました。寺好きとはいえ毎日同じようなものをいくつも見るんですもの、仕方ないね。
何回かに分けて参拝する区切り打ちが気持ちも体力もリフレッシュされて一番楽しめそう。
そして四国を50ccの原付カブで一周したという事実。大きなトラブルもなく無事終えたことはお大師様のお陰かも。移動手段、仕事の道具であったカブちゃんでしたが、人生の数ページをカラフルに彩ってくれました。
バイクって乗り飽きることがないんですよ。お尻が痛くなるまで乗っても飽きない。面白い乗り物です。
バイク移動中が休憩時間であり、街並みを楽しむ時間であり、旅してると実感する時間でもありました。
この子にはかなり無理をさせたと思いますが、よく耐えてくれました!
ありがとね、また明日からもよろしくね!